新しい経験への扉を開く、かつて読んだ本、読みそこなってしまった本、いつかは読みたい本。代官山ヒルサイドテラスの中に開かれた、クラブヒルサイドには、サロンの他にライブラリーもあります。いつも、本を手に取ると感じることですが、一冊の本の中には著者の人生と言葉が詰まっています。紙と文字の集積=本は、数多の人生そのものだと思うと、長い時間の経過を感じます。また、作品を手にとった側の人生も気になります。誰がどんな風に読むか?で、本の意味は全く違ってくること。同じ作品を「好き」だと思っても、そこには幾通りもの解釈があること。その違いや新しい視点をシェアすることができたら、知らなかった作品の魅力に出会えるかもしれない。stillwater では本好きの青木と玉置の自宅の本棚には同じ本が沢山並んでいて、2人の趣向の近さを感じます。なんだか嬉しい、一方で少し恥ずかしい。お互いよく、これ読んだ?と自分のお薦めの本をシェアしています。そんな会話の中で、いつか会いたい著者だとか、旅に持っていく文庫本のことなどを、語り合っています。「読書」を共にする、というシンプルなこの試みの中で出会えることは、沢山あるのではないでしょうか。
シーズン1の読書会は、少女が大人になる過程で読んでほしい古典的名作を、多彩なゲストと共に読む読書会を考えました。幼い頃、図書室で読んだ本。背伸びして手にとったものの読みきれなかった本、いつも実家の書棚にあった本など、誰もが一度は手にしたことのある名作を題材に選び、それを読んで欲しい方を想像しながらゲストを決めていきました。開催後、アートフロント前田礼さんのご尽力により、書籍化されました。
読書会「少女は本を読んで大人になる」 シーズン1 2013年〜
第1回 アンネ・フランク『アンネの日記』/ゲスト:小林エリカ(マンガ家・作家)
第2回 エーヴ・キュリー『キュリー夫人』/ゲスト:中村桂子(生命誌研究者)
第3回 石牟礼道子『苦海浄土 わが水俣病』(講談社文庫ほか)/ゲスト:竹下景子(女優)
第4回 林芙美子『放浪記』/ゲスト:湯山玲子(著述家・ディレクター)
第5回 フランソワーズ・サガン『悲しみよこんにちは』/ゲスト:阿川佐和子(エッセイスト)
第6回 高村光太郎『智恵子抄』/ゲスト:末盛千枝子(編集者)
第7回 ルーシー・モード・モンゴメリ『赤毛のアン』/ゲスト:森本千絵(コミュニケーションディレクター)
第8回 伊丹十三『女たちよ』/ゲスト:平松洋子(エッセイスト)
第9回 尾崎翠『第七官界彷徨』(河出文庫他)ゲスト:角田光代(小説家)
第10回 エミリー・ブロンテ『嵐が丘』/ゲスト:鴻巣友季子(翻訳家)
読書会「少女は本を読んで大人になる」 シーズン2 2015年〜
本は人を旅へと誘う。旅は人を本へと向かわせる。人は本を読んで空間を旅し、時間を旅する。そのどちらもとても好きです。その2つの密接な関係に頷ける方は多いのではないでしょうか? 2015年から2016年の2年間に渡って、緩やかに開催した読書会シーズン2は、「旅」をテーマにしました。かねてからお誘いしたかったゲストの方に時間をかけて依頼させていただき、実現した本読書会。当日は、想い想いの方法で本を片手に語り合います。世界各地を巡る本と食のアンサンブル、旅と本のお供は、ゲストと旅先にちなんだ世界中のスープにしました。この企画の最中に、いくつものオリジナルスープが生まれました。
第1回 『旅とアメリカ文学』ゲスト:柴田元幸(翻訳家、アメリカ文学研究者)
第2回 『宮本常一が歩いた日本』ゲスト:佐野眞一(ノンフィクション作家)
第3回 『武田百合子『犬が星見た』をめぐるロシアとウズベキスタンの旅』 ゲスト:高山なおみ(料理家)
第4回 『本が誘う秘境の旅』 ゲスト:石川直樹(写真家)
第5回 『本とアートをみちしるべにパリをめぐる』 ゲスト:原田マハ(作家)
第6回 『須賀敦子が生きたイタリア』 ゲスト:大竹昭子(作家)
第7回 『地図集』とともにめぐる幻の香港』ゲスト:中島京子(作家)
第8回 『人はブラジルで(だけ)写真家になる! 』 ゲスト:今福龍太(文化人類学者)
第9回 『仏像本を手に東南アジアを旅する』 ゲスト:はな(タレント・モデル)
第10回 『ヨーロッパとイスラムの間で~マンガで巡る中東の旅』 ゲスト: 酒井啓子(中東研究家)
第11回 『南極探検の悲惨と栄光』 ゲスト: 池澤夏樹(作家・詩人)
読書会「少女は本を読んで大人になる」 シーズン3 2018年〜
第1回 川端康成と『初恋』/ゲスト:鶴田真由(女優)
第2回 ガルシア・マルケス『エレンディラ』を読む #Me Tooって恋愛なの?/ゲスト:内田春菊(漫画家)
第3回 “遠い地”へと向かう想像力―『100万回生きたねこ』から『ぼくがラーメンたべてるとき』へ/安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
第4回 大貫妙子さんと読む『茨木のり子』〜横顔〜 /ゲスト:大貫妙子(ミュージシャン)
第5回 ことばと冒険、石井桃子の本 /ゲスト:若菜晃子(編集者)
第6回 小説と映画からみる「悪女」について /ゲスト:石山友美 (映画監督)
第7回 人生を描く―― ゴフスタインの絵本 /ゲスト: 渡邉良重(グラフィックデザイナー)
第8回 スパイスの香りに誘われてーー 料理家と読む小説 /ゲスト:谷尻直子(料理家)
少女は本を読んで大人になる
人は読んで未知の世界を知る。
新しい経験への扉を開く、かつて読んだ本、
読みそこなってしまった本、いつかは読みたい本。
少女が大人になる過程で読んでほしい十冊の古典的名作を、
さまざまに人生を切りひらいてきた
十人の女性たちと共に読んだ読書会の記録
編者 クラブヒルサイド+スティルウォーター
発行 現代企画室
価格 1,650円ー